座長として発言する岡部教授(左)と斎藤知事
レポート
- 2023.04.24
- REPORT
「創造的復興」の理念を掲げた兵庫県のウクライナ支援検討会で経済学部の岡部芳彦教授が座長に選ばれました
兵庫県が主催し、「創造的復興」の理念を活(い)かしたウクライナ支援検討会の第1回会合が4月21日、兵庫県公館で開かれました。ウクライナ研究会会長で、現地事情に詳しい岡部芳彦経済学部教授が研究者や支援団体代表らで構成する委員の座長を務めることになり、支援する自治体を決める「カウンターパート方式」で取り組むことなどの方針について議論しました。
斎藤元彦知事のあいさつで開会し、ウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使と公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構の五百旗頭真理事長が講演しました。
五百旗頭理事長によると、「創造的復興」の語源は関東大震災(1923年)で完全に破壊された当時の帝都東京を復興させるのに後藤新平内務大臣が示した方針にさかのぼります。1995年の阪神・淡路大震災後には、単に被災地を元の状態に戻すだけではなく、より良い街と社会をつくる理念として示されました。東日本大震災(2011年)などでも取り入れられ、ウクライナも戦争前と同じ状態にというだけではなく、より強じんで魅力的な国土に復興させ、地域社会も再生することを目指します。
支援自治体の候補として、戦況が落ち着いており、環境が兵庫県と似ているなどの要素を考慮して、岡部座長は、
(1)多くの国内避難者が集中し、帰還兵や親族などに心のケアが必要とされるイヴァーノフランキーウシク州
(2)ハンガリー系の住民が多いザカルパッチャ州
(3)州都ミコライウ市は神戸と同じく港町で造船業の盛んなミコライウ州
を挙げました。
復興の主要な内容としては、兵庫県が得意とする「こころのケア」や「学校教育」「防災対策」などが候補に挙げられ、災害廃棄物処理対策、災害障がい者支援も検討の対象となります。コルスンスキー大使は「地域ごとのインフラの復興に加えて人間の復興が必要です。負傷した兵士や民間人の治療を行う無料のクリニックも運営されており、支援の対象として検討いただければ」と述べ、クリニック代表者が負傷者の治療や義手・義足の装着などの活動を紹介しました。
オブザーバーとして参加したウクライナ出身のナディヤ・ゴラル経済学部客員教授は「検討会の経過や提言は日本語だけでなくウクライナ語にも翻訳して発信すれば良いのでは」と発言し、斎藤知事が賛成しました。
戦況の変化次第ですが、県民向けシンポジウムの開催と5回の検討会を経て来年3月には提言案を完成させる予定です。
NHK NEWS WEBの記事はこちら
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講演するコルスンスキー大使
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斎藤知事のあいさつを聞く委員ら
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ウクライナ支援検討会の参加者ら